鬱との付き合い(1)

うつ病の生活
うつ病と診断されてから一週間は寝たきりで過ごした。
全く外に出る気力が起きないし、特にやりたいこともない。テレビやネットを見ながら過ごす。家内は医者からの指示で、私には一切プレッシャーをかけないように言われていたため、不安や不満を漏らしたりしない。子供達は今まで毎日忙しかった私が、毎日家に居続けるので、不思議に感じながらも、遊んでほしいと飛びついてくる。
この生活も非常に疲れる。確かに何不自由無い生活なのだが、私は何でも許される人になってしまったようで、何をしてもしなくても刺激や感動や幸せを味わう事ができない虚無感に襲われた。
そして、医者からは無理をするのがよくないから、「やりたいこと」以外してはいけないといわれている。
ここ7、8年、ずっと仕事に熱中していたため、家にこもりきりでやりたいことなど見つかるわけもない。
毎日寝て、食べて、抗うつ剤が無ければどうなってしまうかわからない存在。
ここに存在する意味すら感じられなくなってきた。


不安定
一週間後からは、ある程度活動をするようになってきた。子供を幼稚園に送り届け、その足で公園を散歩しながら、過去を振り返っていた。
なぜ、俺は病気になったのか、なぜ俺はプロジェクトをあんな状態にしてしまったのか。なぜ、俺はあんなに自信があったのか・・・
過去の成功を思い出す度に寂しさと今の自分に対する腹立たしさがこみ上げてくる。そして、もっと頑張れるやり方があったのではないかと考えた。頭の中で時間を巻き戻し、自分が異なる振る舞いをしていたら、どうなっていたか考えてみる。しかし、どれも良い結果にならない。うつ病だから仕方が無いのか、私が弱い人間になってしまったからなのか。考えれば考えるほど混乱してくる。
そもそも、成功してきたのは、自分の何に役立っているというのか。今は何も残っていない。そう思い始めた時、今の自分も今までの自分も意味が無いように感じるようになった。
そして、家内に問い詰めた。
「俺と一緒にいても苦しいだけだろう。」
家内は「そんなことないよ」と言っていたが、彼女の涙が現実を物語っていた。