私が鬱になった経緯(5)

報告
病院から出ると、不安な気持ちでいっぱいだ。自分だけこの世から取り残された気がしてくる。街では皆忙しそうにしているが、自分は半ば仮病のような気分でうつ病と診断され、やるべきことから逃げた。
もしかしたら、会社では経営者の会議で私をやめさせる方法を決定していて、病気になったらクビにしようと目論んでいるのではないか。そうなって仕方ないんだと必死に自分の心に言い聞かせて、上司に報告の電話をかける。
「医者に行った結果、うつ病と診断されました。3ヶ月休むように言われ、診断書を渡されました。」
「わかりました。診断書を持ってくることはできますか?」
「はい。現場ではなく、自社の会議室であれば行くことができます」
こう答えたのは、もうすでに現場に顔を出す気力は無かったからだ。現場を見ることが恐怖であった。自分の全てを破壊する存在に感じたからだ。
会社に着いたのは夕方。人の目を逃れるように会議室へ入る。診断書を手渡し状況を話す。上司は私の事を心配してくれるのみであった。解雇や仕事の心配は一切しなくてよいとのことだった。



夕食をとり、初めて薬を飲む。飲んでもすぐには眠くならないし、気分が良くなるわけでもない。不安からなかなか逃げる事ができない。布団に入ってもいつもどおり寝付く事ができない。寝付いたのは4時間ほどすぎたころだろうか。
翌日は薬が効いているせいか、あまり深く自分を追い詰めることがなかった。しかし、体に異変があった。それは小便をする際、妙な違和感があるのだ。こんな体験は初めてだったため、直感的に薬が原因だと感じた。
後で調べてわかったことだが、抗うつ剤には尿閉などの副作用があり、インポテンツにもなることがある。